江戸後期・明治初期の歴史/資料解説
葵文庫

 

AJ-24
[「垤 氏三兵答古知幾」前編20巻 (写本)]

 プロシャのデッケル(Decker、垤結爾)著「歩騎砲三兵戦術」(1831)をオランダ人ブ−コップ(Boecop)が蘭訳し(1833)、さらにこれを邦訳したもので、訳者は不明である。「答古知幾」(タクチキ)とは蘭訳本の書名中の「Taktiek」の音訳で「戦術」の意。「三兵」とは歩兵、騎兵、砲兵を指す。内容は、ヨ−ロッパにおける軍隊戦術の歴史的事実を詳述したもの。

 本来、前・後編各20巻のものが、葵文庫本は後編20巻を欠く。印記は「諸術調所」「駿府学校」「静岡師範学校」。但し、「諸術調所」印の上に「駿府学校」印が重複して押されているために、両者の見分けが困難である。

<参考文献>

佐藤堅司「< 垤 氏三兵答古知幾>における歴史的要素〜デッケルの時代意識の解剖〜」(Z40-17 「蘭学資料研究会研究報告」65号)
石田徳行「静岡県立中央図書館蔵 諸術調所・箱館奉行所旧蔵書瞥見」
(SZ01-3「葵」12号)

垤 氏三兵答古知幾の第1頁
 
垤 氏三兵答古知幾の表紙
第1頁
表紙