辞書の歴史/官版独逸単語篇

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 文久2年(1862)、洋書調所の編集による我が国最初のドイツ語辞典。総ペ−ジ49、両面木版刷り25丁の小部な和綴じ本である。収録語数は1879語。ただし、訳語は付けられていない。よって、この単語集は実用的なものとはいえないが、幕末に刊行された官版のドイツ語の語学書としては唯一のものである。
 当館所蔵本(静岡学校の印字をもつ)には、最初から100語に訳語が朱で書き込まれている。おそらく、当初はすべての単語に訳語を書き入れるつもりであったのが、いざ入れる段になって困難を覚え、そのままにしたものと想像される。

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