広がる世界観(C)-合衆国を語る州ごとの地図(AE80)
日本

■共通解説
葵文庫の中には、一枚ものの絵図や地図(マップ)のほか、いくつかの地図帳(アトラ ス)がある。世界各地の地勢が集約された地図帳は、地理的視野や知識の拡大をもたらすとと もに、「世界の国々が、鎖国から開国へ揺れるわが国をどのように見ていたのだろうか」 といった思索をめぐらす場をも提供している。
 「万国地図、戌八月小栗豊後守献」の付箋がある。彩色豊かな大きな地図帳であり、説 明文や統計、地図が体系的にまとめられている。自然環境について、ミシシッピ川やアマ ゾン川など世界の大河川の流長をはじめ、山地の高さ、湖沼や島の大きさが視覚的にわか りやすく比較されている。南極大陸の一部が見える。アメリカ合衆国の地勢については各 州ごとに詳細な記述があり、また主な都市の市街図には開拓の歴史を反映した格子型の街 路がうかがえる。静岡県関係では、下田、沼津、浜松などの地名が表記されている。下田 はいくつかの地図帳に取り上げられていて、19世紀中頃、開国の舞台として世界の耳目 を集めていたことが知られる。

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