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図書館員の棚から3冊(第100回)(2017/12/22)


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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第100回目は 静岡市立北部図書館の青島貴子さん です。■

 
 『名画の謎 旧約・新約聖書篇』(中野京子と読み解く) 
    
(中野 京子/著 文藝春秋 2012年)

 『怖い絵』シリーズでお馴染みの著書による、宗教画の鑑賞をより奥深く知ることが出来る図書です。

 冒頭に著者が述べているように、キリスト教や聖書にはあまりなじみがない多くの日本人に向け、まず「旧約」・「新約」の意味から解説しており、巻頭には「聖書の登場者たち」と題した肖像入り相関図も示されているため、聖書初心者でも理解しやすい内容となっています。

 西洋絵画の案内書にふさわしく、絵画ページは美しいカラーで印刷されており、中野氏の軽快かつ印象に残る解説を味わいながら、絵画鑑賞も出来ます。この本を読むことにより、それぞれの絵画を描いた画家の境遇にも触れることができ、その気持ちを推し量ることにより、聖書の登場人物達がより人間らしく、自分の身近に感じられ、その息遣いさえ伝わるようです。

 『怖い絵』、『危険な世界史』、『名画の謎』、『残酷な王と悲しみの王妃』、『名画で読み解く』など、各シリーズも、それぞれの絵画を鑑賞しながら、歴史を新たな視点で眺めることができます。

 ベラスケスはバリバリのエリート重役ながら、過労に倒れたことを知ると、もう少し彼の負担を減らしてもらえたら、もっと多くの彼の絵画を見る事が出来たのではないかと、ファンとしてはとても残念に思えますし、ダヴィンチとミケランジェロの関係を改めて深く知ると、彼らの作品にもう一度会いに行きたくなります。

 私も幼い頃から様々な美術館で展覧会を楽しんできましたが、こちらの著者に出会い、描かれた人物や風景に異なる視点を得られることで、ますます絵画を鑑賞することが楽しみになりました。

 本シリーズの図版を足掛かりに、大きな美術書の図版を楽しみ、美術館の展覧会が待ち遠しくなる、いつか本物の絵画にも会いに行きたくなる、そんな興味を引き出してくれる図書です。

 司書の皆様、貴館の大型美術書の活躍にも繋がるかも知れません。



2 『静岡県 城めぐりハイキング精選50コース』
    
(静岡γ(ガンマ)山岳会/編 静岡新聞社 1999年) 

 静岡県内の城跡をめぐる、50コースを案内しています。「伊豆」、「東部」、「中部」、「西部」の地域別に記載され、城跡の所在地も目次で表示されており、各城跡コースの右上には「家族向」、「中高年向」と山岳会メンバーの著作らしく、ハイキングコースの難易度も色別で表記されています。

 御殿を抱える城、陣屋、山城など、城の種類は様々ですが、静岡県には多数の城があったことを知ると、今川氏を始めとした武将が拠点を置いた戦国の世においては、上洛する上での交通の要であったことが改めて分かります。

 立派な天守閣や御殿を備えたお城を巡るのも楽しいですが、近くの山城へ出向き、空堀や本丸跡で思いを馳せるのも楽しいですよ。蚊や蜂が少ない冬は、山城も快適に登山できるのでおすすめです。



3 「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』
    (明智 憲三郎/著 文芸社 2016年)
    

 織田信長公を明智光秀公が討った「本能寺の変」を、光秀公の立場と視点から、その子孫が「捜査」しています。歴史は勝者によって綴られることに対し、逆の立場から捉えており、信長公に対する光秀公の思いを推察しながら検証しています。

 近年、歴史を「事件」として捉える「歴史捜査」の視点から取り扱った書籍やテレビ番組も多くありますが、敗者とされた人々の視点から歴史上起こった戦や事件を見直すと、新鮮な面白さがあります。

 信長公の視点、光秀公の視点、秀吉公、家康公、その他の武将、公家からの視点と、様々な立場から捉えた「本能寺の変」。やはり、時代の大きな転換点となった事件であることは間違いないようです。


 次回は 浜松市立中央図書館の 鈴木 美音子 さん です。

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