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図書館員の棚から3冊(第53回)(2015/12/25)


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図書館員の棚から3冊(第53回)(2015/12/25)

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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第53回目は 御前崎市立図書館 松本 亜泉 さん です。■

1  『霧のむこうのふしぎな町』 (柏葉幸子/作 竹川功三郎/絵 講談社 1980年)

 この本に出会ったのは、私が小学生の頃、現市立図書館の前身である町の小さな図書室でした。図書室に行く度に、この本を手に取った覚えがあります。

 お話は、小学六年生のリナが、夏休みに父親のすすめで、一人で霧の谷を訪れるところから始まります。森を抜け、霧が晴れると現れたのは、きれいで風変わりな町でした。リナは、そこで出会う、おかしな人々に助けられながら働き、成長していきます。

 働いたこともなく、何も出来ないと思っていたリナ。そんなリナが自分の意見を言ったり、自分の意思で行動するようになるのを、当時、憧れる思いで読みました。今回、読み返してみて、あっと思ったのが、リナが静岡県出身だったこと。意外なつながりに、にやにやしてしまいました。現在は、新装版が出版されています。

 

2  『空色勾玉』 (荻原規子/作 福武書店 1988年)

 まだ記憶に新しい(といっても2年前)アニメにもなった「RDG レッドデータガール」の作者、荻原規子のデビュー作です。古事記をベースとした骨太な物語に、やられてしまいました。舞台は、古代日本「豊葦原」。不死の輝(かぐ)一族と転生をくり返す闇(くら)一族は、豊葦原を巡り、争っていた。輝を称える羽柴の村娘・狭也は、15になった祭りの晩に「おまえは闇一族の巫女姫だ」と告げられる。同族の迎えを断り、輝一族のもとへ赴く狭也。しかし、輝の宮で、輝一族の末子・稚羽矢と出会い、大きな運命に巻き込まれていく。

 中学生の頃に出会い、すっかり虜となりました。言い回しや雰囲気も含めて、とても好きな作品です。出来れば、中学生や高校生に読んでもらいたい。勿論、ファンタジー好きな大人にもおすすめです。現在は、徳間書店から出版されています。

 

3 『死神うどんカフェ1号店』(石川宏千花/著 講談社 2014年)

 CDのジャケ買いがあるように、表紙に惹かれて本を手に取ること、ありますよね?この本は、表紙の可愛い女の子のイラストに惹かれて手に取った本でした。タイトルも「死神」で「うどん」で「カフェ」ですよ。こりゃ読まずにはいられません!

 中二の夏、溺れていた子どもを助けようとして、自らの命を落としかけた林田希子。同じく、子どもを助けようとした同級生の三田亜吉良は、意識不明のまま眠り続けている。彼を巻き込んだことに罪悪感を感じ、高校に入学してからも心を閉ざしたまま、誰とも関わらない希子。しかし、ふと入ったうどん屋で、意識不明で寝たきりなはずの三田に出会う。彼は死神の力で、半死人としてよみがえっていた。三田や訳あり店員と交流するうちに、希子のとまっていた時間が動き出す。

 登場人物に死神が出てきますが、ホラーではありません。高校生が自分の生き方に真剣に悩み、答えを出そうとする、学生にとって『今ここ』な話です。そして、学生時代の気持ちを思い出したい大人の方!手にとってみてはいかがでしょうか?



                 次回は 県立中央図書館 河原崎 全 さん です。 

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