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図書館員の棚から3冊(第46回)(2015/09/11)


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図書館員の棚から3冊(第46回)(2015/09/11)

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図書館員の本棚拝見!
このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画を御紹介します。
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■第46回目は 湖西市立中央図書館 兵藤 友美 さん と  湖西市立新居図書館 鈴木 康典 さん です。■

1.『魚類の形態と検索 1,2,3』(松原喜代松/著 石崎書店 1955年)

 ちょっと毛色の変わったところを1冊。言ってみれば、魚類の検索図鑑で、一般の人はまず手に取ることが無い書籍です。学生時代、安いカラー図鑑を図版代わりにして、研究室にある本書を解説書として使っていました。当時としては高価で、魚類学を学ぶ貧乏学生では簡単には手が出せない本で、卒業後、水族館在職中に本書を見つけて衝動買いし、その後しばらくは食費も事欠いた事は良い思い出です。本書の魅力は内容はもとより、なんといっても、その図にあります。いろいろな文献から転載しているのですが、モノクロでも写実的で立体感があるものばかりです。一部、絵を写真に撮ったものは、実際の質感が表現できずに残念な感じですが。パソコンや描画ソフトの無い時代、よくこれだけ緻密な絵を書いたものだと、感動したことを覚えています。解説も当時の分類形質を正確に押さえた分かり易いもので、研究論文の文献として必ずといっていいほど引用されていました。
 
しかし生物の分類は、その後の研究と近年のDNA解析の普及により、大きく変わってきています。1955年発行の本書も使えない部分が増えていて、文献としての引用が少なくなっていることに寂しさを感じる、この頃です。

(湖西市立新居図書館 鈴木 康典)


2.『21世紀こども人物館』(小学館 1993年)

 この本は、私が子どもの頃繰り返し読んでいた本の一つです。数あるこの「21世紀こども」シリーズの中で、この本が一番のお気に入りでした。
 内容としては、多くの偉人の功績や名言などを紹介している児童向けの人名辞典です。一人の人物を見開きで紹介し、多くの写真やイラストを用いて解説を行い、子どもにも分かりやすい構成になっています。
 私が一番気に入っていたのは、右ページ欄外にある「偉人の誕生日・出生地」のコーナーでした。自分の誕生日と同じ人はいないかな、この地域で生まれた人はいるのかな、と当時はそのような点にばかり目がいっていたものです。それでも、いろいろな偉人の姿を見ながら、将来の自分の姿を思い描いて眺めるこの本は、子ども心にとても楽しいものでした。
 この機会に少し眺めてみると、湖西市の偉人「豊田佐吉翁」も掲載されており、幼い時に既に出身地ではない湖西市と出会いがあったのだと感慨深いものがありました。
(湖西市立中央図書館 兵藤友美)



3.『クマちゃんにあいたくて』
(今江祥智/文 黒井健/絵 クレヨンハウス 1993年)

 この絵本は、小さな女の子とクマのぬいぐるみの様子を描いたものです。
 忙しい両親とはふれあいが少なくちょっと寂しい女の子にとって、祖父母が誕生日に買ってくれたクマのぬいぐるみがかけがえのない存在です。
 前半はそんな微笑ましい交流が描かれていますが、ある日お父さんの転勤によってクマのぬいぐるみと離ればなれになってしまいます。そこで、女の子は一人で飛行機に乗ってクマのぬいぐるみに逢いに行くのですが、ふんわりとした絵とやさしい文で構成されている物語にしては、なかなかたくましいなあと思ってしまいます。
 最後の最後で、女の子が両親よりもクマのぬいぐるみとの生活を選ぼうとする展開にはちょっと「それでいいのかな」と考えてしまうところもあるのですが、全体的に小さな女の子がクマのぬいぐるみを大切に思う姿がとても可愛らしくやわらかいタッチで描かれており、読んでいて癒される1冊です。
(湖西市立中央図書館 兵藤友美)


 
      次回は 焼津市立焼津図書館 山梨 のぞみ さん です。 

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