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図書館員の棚から3冊(第7回)


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図書館員の棚から3冊(第7回)

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 図書館員の本棚拝見!
 このコーナーでは、あなたの町の図書館員が本や雑誌、漫画をご紹介します。
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■第7回目は 御殿場市立図書館 佐藤 典子 さん です。

◆『オムライス・ヘイ!』(武田 美穂∥作 ほるぷ出版 2012年)

 表紙に描かれているオムライスがリアルでとってもおいしそうな絵本です。
ケチャップの赤、卵の黄色、その下のケチャップライスのオレンジ色、ちらりと見えるグリンピースの緑・・・色鮮やかでインパクトは抜群です。
 もちろんそのあとも、ケチャップライスをつくる場面や卵を割る場面、ページをめくるたびにおいしそうな絵が飛び込んできます。「オムライス ヘイ! ざいりょうだ!」、「にゅるにゅるにゅるにゅる、ケチャップだ」など、添えられている文章もリズミカル。特にオムライスをお皿に移す場面は盛り上がりますので、親子で一緒に読んでほしい楽しい絵本です。
 食べものが登場する本を読むと、無性にその食べものが食べたくなることがありますが、この絵本は「真似して作って、食べて」みたくなる本です。


◆『日本の色辞典』(吉岡 幸雄∥著 紫紅社 2000年)

 「色の種類」と聞いて何色くらいの色が浮かぶでしょうか。
 この本には万葉から江戸時代まで日本の伝統色を中心に、300種以上の色が掲載されています。茜色・藍色のように草木の染料で染めた色、紅梅色・うぐいす色のように花や鳥の羽の色に似ていることから名づけられた色など、さまざまな色名の由来や逸話、その色が登場する和歌や物語などが紹介されている、身近な色の世界の豆知識を知ることができる本です。
 同じ赤系でも細かく分かれていたのを知ると、普段桃の花も桜の花も同じ「ピンク色」と言ってしまうことが陳腐な表現に思えてきます。
 さらに色の辞典というと、それまでインクによる印刷で色を再現している類書は多くみていたのですが、この本では天然の染料で染めた絹布、もしくは和紙を撮影した写真で色見本をつけています。染色家である著者が手掛けた本ならではの素敵なところだと思います。

 
◆『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ』
                   (大崎 梢∥著 東京創元社 2006年)

 元書店員である大崎梢さんが描く「本格書店ミステリ」です。
 とある駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、探している本を示す暗号を解いたり、雑誌を使ったいやがらせ事件を解明したりと、店内やその周辺で起こったさまざまな謎を解明します。
 作中に「本屋の謎は本屋が解かなくちゃ」という台詞が出てきます。それが示すとおり、本屋さんで起こるトラブルが主な事件なので、殺人や強盗など凶悪犯罪はほとんど起こりません。「推理小説は読みたいけれど、殺人事件が起こるような物語は苦手」という方におすすめしたい作品です。
 謎解きの合間にレジ打ちや新刊の品出しなどの仕事の描写があり、書店の日常業務を垣間見ることもできますので、本好き・本屋好きの方は是非注目してください。
 また、作中にはいくつか実在する書名が登場しているので、読んだことのない本があったら合わせて読んでみるとより面白いかもしれません。



 
      次回は 裾野市立鈴木図書館 岩田 里美 さん です。

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