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リレーエッセー(第179回)


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リレーエッセー(第179回)

「こんな図書館にしたい」「私の出会った図書館員」「心に残るこの1冊」など、図書館員の“おもい”をリレー形式で紹介していきます。

■第179回目は 浜松市立はまゆう図書館 太田 万裕香 さんです。


心に残るこの一冊 「第九軍団のワシ」


ローズマリ・サトクリフ作 猪熊葉子訳 岩波書店

 紀元117年頃、ローマ帝国の第九軍団がカレドニア(現在のスコットランド地方)の諸氏族を平定するために進軍し、その後消息を絶った。イギリスの女性作家ローズマリ・サトクリフは、いくつかの史実から着想を得て「第九軍団のワシ」を生みだしました。
 物語の主人公は第九軍団の副司令官の息子マーカスです。ローマ軍の百人隊
長としてブリテンに配属されたマーカスは、ブリトン人との戦いで足を負傷し、退
役を余儀なくされます。軍人として出世する夢を失い、足にひどい傷を負った彼
は、退役してブリテンで暮らしている叔父の家で療養します。そこでアクイラ叔父
をはじめ親友エスカ、狼のチビ、隣家の少女コティアと出会い、新たな人生に向
きあい始めます。

 そんなある日、マーカスはローマ軍の司令官から消息を絶った第九軍団の噂を
聞き、エスカと共にかつて父が掲げていた軍団の象徴《ワシ》を探す危険な旅に
出かけます。迷い、悩み、それでもまっすぐな気性を失わないマーカスの姿は清々しく、危険な旅の行く末に頁をめくる手が止まりません。読みごたえのある冒
険小説です。


               次回は 浜松市立細江図書館 柴田 悟子 さんです。
 

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