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2014年11月の貴重書展示

『和蘭字彙』画像

江戸の辞書(オランダ語)

鎖国の時代、日本が交流を持っていた西洋の国はオランダのみでした。では、なぜオランダだったのでしょうか?

17世紀初頭、イギリスはアジア貿易から撤退し、スペイン・ポルトガルは、宗教色の強さから幕府から拒絶されていました。オランダは宗教色が薄く、アジア貿易にも積極的だったため、幕府が交流を行うには非常に都合が良かったのです。

鎖国当初は、中国語を介してオランダ語の通訳や翻訳を行っていましたが、やがて、オランダ通詞と呼ばれる世襲の通訳が生まれました。18世紀に入り、享保の改革などから実学が奨励されると、蘭学の需要が一気に高まり、オランダ語辞書の編纂が行われるようになりました。

幕末になり、欧米人との交渉の機会が増えると、英語やロシア語の不得手な日本人は、彼らとの交渉に当初はオランダ語を用いていました。当館の葵文庫にオランダ語辞書が多いのもこのような理由かもしれません。

展示期間・場所

期間 11月1日(土)~11月28日(金)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー

展示資料一覧

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書名等 画像 略説
AN283
『和蘭字彙』
『和蘭字彙』画像  『ヅーフハルマ』は印刷・刊行されず、筆耕料も安くはありませんでした。そのため、幕府に改訂版の出版を申請し、『和蘭字彙』と改め、木版にし、出版しました。

K070/3
『ヅーフハルマ』
『ヅーフハルマ』画像  オランダの商館長ヘンドリック・ヅーフ(1777-1835)が長崎通詞と協力して編集した蘭和辞典です。収録語彙は約4万5千の単語と5万余の短句・短文からなっています。
K070/2
『ハルマ和解』
『ハルマ和解』画像
 日本初の蘭和辞典で、フランソワ・ハルマの蘭仏辞典を原本とし、約6万語を収録しています。ハルマの蘭仏辞典はオランダ語の単語をフランス語とオランダ語で解説していたため、そこからフランス語部分を除く形で作成されました。
K012/50
『訳鍵』
『訳鍵』画像  正式名称は「Nederduitsche TAAL 訳鍵」といい、「オランダ語を訳す鍵」の意味です。『ハルマ和解』より有用な単語を抜き出し、また使いやすいよう改編した縮小版で、約2万7千語を採録しています
K012/51
『改正・増補訳鍵』
『改正・増補訳鍵』画像 『和蘭字彙』を参考に『訳鍵』を改正増補したものです。作者によると『和蘭字彙』は高くて貧生にはとても買えない、一方で『訳鍵』は初学者用の単語に不足を感じるので『和蘭字彙』をもとに改正を行った、としています。

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