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2013年9月の貴重書展示

葵文庫コレクション2
幕末の対外交渉史1 露西亜編

『完全フランス語・ロシヤ語辞典』画像

鎖国下の日本を開国へと導いた国はアメリカというイメージが強いですが、実は、ペリー来航の半世紀も前から、日本はロシアの開国圧力と闘い続けてきました。

積極的な領土拡張政策をとるロシアは、17世紀に太平洋岸へ到達し、探検隊を日本近海に送るようになりました。18世紀末にはラクスマン、レザノフが次々と来航し、日本に通商要求を行ないます。そのような中、ロシアによる蝦夷地の襲撃事件や、ゴロウニン事件という日露双方の人質事件まで起こり、日露の緊張関係は急激に高まります。

幕府は、こうしたロシアの脅威に対抗すべく、北方探検、海防の強化、ロシア事情の研究など様々な対策を行いました。幕府旧蔵書からなる当館の葵文庫にロシア関係の資料が多いのは、当時の幕府のロシアに対する危機感を表しています。

今回の展示では、当館のコレクション「葵文庫」より、ロシア関係の資料を展示します。

展示期間・場所

期間 8月31日(土)~9月30日(日)
場所 静岡県立中央図書館 閲覧室 貴重書展示コーナー

展示資料一覧

画像をクリックすると、当館デジタルライブラリーの該当資料または拡大画像が表示されます。

書名等 画像 略説
AN77
『Mijne
Lotgevallen
in Mijne
Gevangenschap
bij de
Japanners』
『私が日本に捕虜となった時の冒険』画像  文化8年(1811)に、国後島に上陸したロシアの海軍軍人ゴロウニンら7名は松前藩に捕らえられ、松前、函館に2年2カ月幽閉されました。本書はゴロウニンが日本での幽閉生活を送った間の見聞をつづったものです。
 原著はロシア語ですが、当館所蔵本はオランダ語の重訳版です。
AJ12
『遭厄日本紀事』
『遭厄日本紀事』画像  上記AN77の翻訳です。文政4年オランダ商館長によって江戸にもたらされ、高橋景保、馬場佐十郎が翻訳に着手、翌5年に杉田立卿、青地林宗が訳了、高橋が全巻校訂の上、幕府に進呈しました。
AO15
『Polnoi
Frantsuzskoi
i Rossiiskoi
leksikon』
『完全フランス語・ロシヤ語辞典』画像  ロシアの海軍軍人ゴロウニンが、国後島で捕えられた時に所持していた仏露辞書の2巻本の下巻(L-Z)です。ゴロウニンによると思われる単語等の書き込みが、表紙見返しや、裏表紙見返しなどに多数見られます。
AJ21
『精校海國兵談』
『海國兵談』画像  ロシアの南下策に危機感を募らせた林子平が著した海防書です。日本は海で四方を囲まれた「海国」なのだから、外国からの侵略に備えた海防体制が必要であると説いています。
290.3/131
『亨和ノ仙台漂流民魯国ヨリノ往復道筋』
『亨和ノ仙台漂流民魯国ヨリノ往復道筋』画像  ロシアのレザノフは、仙台の漂流民津太夫らを伴い通商を求めましたが、幕府はこれを拒絶しています。その際にレザノフ、津太夫らが乗っていた船はロシア初の世界一周船で、津太夫は船上でロシア船員から聞いて、世界地図上に長崎までの帰国航路を朱線で記入しました。本地図はその模写だと思われます。

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