「こんな図書館にしたい」「私の出会った図書館員」「心に残るこの1冊」 など、図書館員の“おもい”をリレー形式で紹介していきます。

■第51回目  外岡 玲子さん(南伊豆町立図書館)
 この町に図書館があるのは何のためだろう?図書館の目的は何だろうかと 時々自分に問いかけては答えを探しています。そんなたいそうな事は考えず に、利用者に求められるがままに資料を提供していく。町民が1万人になる かならないかの小さな町でしかも地域は広く、図書館が町の真ん中に1館で は、やはり町中を図書館号で回らなければみんなに喜んで利用してもらえない。 「この本はとても役にたったよ。いい本を選んでくれてありがとう。」「この 作家が一番面白くて。そう続きがでたの。なるべく早く読むから取りに来て ね。」本の宅配を待っている人に届けるこの瞬間が至福のときです。町の誰 もが「図書館があって良かった」と思える図書館作りを目指します。

■第52回目  小林 仁 さん(岡部町立図書館)
 私ども岡部町立図書館は、平成19年4月1日に岡部町立図書館設置条例に より、町民センターおかべ図書室から岡部町立図書館になりました。町民セン ターおかべの1階にある小さな図書館ですが、岡部小学校のすぐ近くにあるた め連日午後になると元気な子どもたちが集まります。また、図書ボランティア グループ「おかべおはなしの会」は定期的に学校や図書館で読み聞かせを行う など、活発に活動しています。
 これからも、ボランティアの皆様と協働し、小さいながらも個性ある図書館 を目指していきたいと思います。

■第53回目  鈴木 雅孔(みやこ)さん(河津町立文化の家図書館)
 私たちの図書館では夏休みや、春・秋の読書週間中に、歩いて図書館へ来る ことの出来ない地域の小学生を対象に、町のマイクロバスを利用して図書館へ 来館できる「図書館へ行こうキャンペーン」という事業を行っています。参加 した小学生は3時間ほど図書館で勉強したり、調べ物をしたり、読書をしたり して過ごし、そのうちの30分間は小学生のためのおはなし会に参加してもらっ ています。
 私は小学生こそ絵本の読み聞かせが必要だと思っています。体が成長する時、 心も成長しますが、まだまだ些細なことにもつまずいてしまう未熟な年代です。 しかし、いろいろなことを素直にまっすぐ受け入れられる純粋さもあります。 だからこそ、心で感じる読み聞かせが小学生に必要ではないかと思います。絵 本を楽しむ幼児期を経て、絵本を心で味わうことができるのは小学生の時期だ と私は思います。
 おはなし会に参加した子ども達の心の中がホッと温かくなったり、元気がで たり、今まで思ったことのないような思いを感じたり、ほんの少しでも子ども 達の心に響く何かを届けられたらいいな…読み聞かせをしている時に感じる子 ども達の目の輝きに期待をして、これからも小学生への読み聞かせをおはなし 会だけではなく家庭にも勧めていけたらと思っています。

■第54回目  楠 きよの さん(河津町立文化の家図書館)
 私たちの町に図書館が出来て5年目になります。現在職員4名の小さな図書 館ですが、地元天城の木を利用して造られた木の香りが漂う、赤ちゃんからお 年寄りまで、町に住む多くの方が気軽に訪れることのできる安らぎの空間となっ ています。
 最近では小学生のボランティアとして、何人かの子どもたちが、放課後や学 校がお休みの日に来てくれています。なんとなく図書館で時間をつぶしている 子どもたちに声をかけてみたのがきっかけでしたが、『やってみたい』と意欲 的な返事にびっくりしました。今は本の整頓、イベントのポスター作り、おは なし会の手伝いなどをお願いしていますが、図書館でのいろいろな仕事に興味 を持ち、自分たちから進んで手伝いをしようする子も見られます。最近犯罪の 低年齢化が騒がれている中で、多くの子どもたちにとって図書館が気軽に立ち 寄れる『安心できる居場所』として役立てたらいいなと思っています。

■第55回目  西村 智子 さん(川根町民文化会館図書室)
 本が好き!読書が好き!そんな人が司書に向いているとしたら、私は、全く 司書には向いていないのかもしれません。小学生の頃、最後まで残ってしまっ た夏休みの宿題が読書感想文でした。課題図書を読むのがやっと・・・だった私が 司書として、少しでも多くの図書や情報を手渡していきたいと考えるようになっ たのは、大学で、ある先生との出会いがあったからです。「人に役立ち、ヒト が人間になるところが図書館である。」そして「人と資料や情報とを結ぶのが 司書の役割。」と教えていただきました。
 川根町民文化会館図書室は、蔵書約20,000冊の小さな図書室ですが、小さな 子どもからお年寄りまで、いつも元気にやってきてくれます。私は、「こんに ちは、いらっしゃい。」と声を掛けます。「何かお役にたてることはありませ んか。」という気持ちを表しているつもりです。「ここの図書室には、探して いる資料がない。」と悩んでいた方に「静岡まで行かなくても、川根で県立中 央図書館の資料を利用できますよ。」と相互貸借について紹介したところ、と ても喜んでくださいました。
 私は、図書の仕事で迷った時、『図書館森時代』(日本地域社会研究所,2005 年)を開きます。図書館の利用者として、職員として、一度手にとって読んで みてください。

■第56回目  鈴木 朱実 さん(島田市立金谷図書館)
 金谷図書館は、島田市と合併した平成17年3月に開館してようやく2年が たちました。私は、島田図書館から異動して2年目になります。当初、島田に 比べゆったりした雰囲気と静かな?環境にとまどいました。大井川を渡るだけ でこんなにも違うものなのかと...。
 ところで最近、うれしいことがありました。 静岡新聞の夕刊(6月21日)に金谷図書館の記事が載ったのです。地元作家  奈波はるかさんが静岡新聞の夕刊“窓辺”に4月〜6月まで執筆するのにあわ せて、コーナーを特設したという内容です。本の内容は、ヤングアダルト向き という感じですが、地元作家ということもあり、コーナーでは足をとめて作家 についてのコメントを見ていかれる年配の方もいて、本を借りていかない方に も興味を示していただいています。
 図書館の規模によって、やれることとやれないことはあると思います。少し ずつでも、来ていただいた方が興味を示し、満足される図書館にしていきたい と感じました。

■第57回目  鈴木 真理 さん(島田市立島田図書館)
 夏シーズン真盛りです。旅行に行ったり、部活をがんばったり、アルバイト で稼いだり、勉強したりとみなさん夏の計画がいろいろあると思います。
 当館の夏の風景はというと、6月下旬、約1週間の休館(本の点検、整理) が明けて、児童コーナーに七夕の笹が現れます。子どもさんはもちろん普段そ こに行かない大人の方、来館するが学習室しか利用しない学生さん達が、短冊 に願い事などを書いて笹に付けている姿はいいものです。同じ頃1階カウンター 横に出現する感想文コンクールなどの課題図書や推薦図書のコーナー、そして 子どもさんが真剣に本を探したり、調べたりする様子なども…。
 思い出すと、私が小学校高学年の時、社会科の授業で学校の図書室に行き、 学習図鑑などで調べたのが、記憶に残る人生初の「調べ学習」なのでしょう。 先生から「まず、目次を見て、索引を見て、調べたい言葉を見つけたら、ノー トに書き取る。」と教わり、本は読む以外にもこういう使い方があるのだと驚 きました。
 夏は一年の中で利用客が多い時、働く者にとっても、多くの人と接しそこから 得た事はこれからの蓄えになります。

■第58回目  渡辺 勝 さん(静岡県立中央図書館)
 県立図書館での勤務2年目、資料課図書係の渡辺勝です。学生のころ、市町 立図書館で働いたこともあり、図書館の仕事はある程度知っているつもりでし たが、実際に職員として働くと、それは氷山の一角に過ぎなかったことを思い 知らされました。図書館の様々な仕事におどろきながら、日々勉強の毎日です。
 先日、協力車(県立図書館職員が、県内の市町立図書館を毎月1回訪問し、 情報交換等を行う事業)に乗って、伊豆地区の市町立図書館を訪問しました。 私は資料課に所属しているため、今まで市町立図書館とは、電話や電算処理で の関わりがほとんどでしたが、実際に職員の方と図書館業務について情報交換 をしたり、資料のやり取りをしたりと、普段とは違う面から業務を見ることが でき、新鮮な感じでした。協力貸出(県立図書館の資料を市町立図書館を通し て貸し出すこと)という業務の1つをとっても、さまざまな方が関わっており、 それぞれに役割があるということを、身を持って知ることができたと思います
。  また、この経験を通して、県立図書館の資料を県内各地で待っていてくれる 方がいること、そしてそれが有意義に活用されていることが実感でき、仕事に やりがいを感じることが出来ました。今後の業務でも、その先にいる職員の方 々、待っている利用者の皆さんのことを考えながら、日々の仕事に取り組んで いきたいと思います。

  ■第59回目  水井 千保子 さん(静岡県立中央図書館)
 5年前、高校図書館活性化モデル事業の職員として、静岡県立中央図書館か ら高校へ異動になりました。
 私の高校図書館業務は、長袖シャツに軍手にマスクの完全防備で図書館の大 掃除をすることから始まりました。請求記号の統一、NDC順の排架、検索ツール の整備、雑誌の受入れや欠本調査など学校司書として行いたいことが山盛りで した。生徒や教員にとって、図書館が得たい知識を得られる場所であってほし いとの想いから、検索ツールとしての電算導入を重点事項として位置づけまし た。
 ほこりまみれの大掃除から3年。電算が本格的に稼動し始め、図書館も賑わ いを見せるようになりました。朝読書も始まり、「図書館の雰囲気が明るくなっ た」との声も寄せられました。学校図書館の再生を実感したものです。
 今年の異動で、高校図書館の現場から離れてしまいましたが、これからも高 校図書館が生徒たちの成長、高校の授業方針に応えられるような、活動する図 書館であるように少しでも力になれたらと思っています。

■第60回目  佐野 英司 さん(芝川町中央図書館)
 芝川町中央図書館2年目の佐野英司です。中央図書館が新しい中央公民館と 共に複合施設として現在の場所にできたのも2年目となります。
 現在の部署への異動に伴い、小さな頃から本が好きだったということと、そ れに併せて図書館の仕事には以前から興味を持っていたこともあり、今思えば 仕事の方にもすんなり入っていけるだろうという考えが大きかったような気が します。
 しかし、外から見ているのと実際に仕事をするのではやはりいろいろな部分 で違いがあり、図書館は本の貸し借りだけが仕事ではないことを改めて感じさ せられました。
 それでも少しずつ仕事に慣れてくるにつれて、どんな事ができるだろうとい う考えが強くなってきました。複合施設内の図書館ということで他の図書館に 較べると少々規模は小さいですが、そのため利用者の意見や要望をすぐに反映 できるという利点を生かして、先週は町内の読み聞かせの会の皆さんに協力し てもらい、ブックフェアを開催し小さなお子さんやその親御さん達にいろいろ な本の紹介や読み聞かせなどを行いました。特に週末は他の行事と重なってい たこともありとても盛況でした。今後もいろいろな意見を取り入れながら、利 用者の皆さんに喜んで活用してもらえる図書館を作っていきたいと思います。